瞬間

昨日まで蕾だった花が、次の日にはひらいていた。
カウンターの隅に置かれた一輪ざしの花瓶に、どこか誇らしげなバラが咲いている。


花が開く瞬間を目の当たりにすることはないのだろうか。一瞬にして花がひらくことはないんだろうが、そういう瞬間に立ち会いたいと思ったりする。
瞬間の連なりが、結果として咲いていくことなんだと思うと、「その瞬間」がとても濃密な時間に思えてくる。目で見ることはできない時間。だから「瞬間」という字を使うのだろうか。
こんな小さな疑問でさえ、瞬間に過ぎないかもしれない。でも、それがどこかへ繋がっていくのかもしれない。

きれいにさいたバラを見ていて、ふとそんなことを思った。