new world

寒いだろうなとは思っていた。
雪も降るんだろうなあとは思っていた。
目覚めて、外に出るといつも目にしている風景が違っていた。
白と黒、それにグレーで構成された写真を切り抜いたようなその風景は、まったく想像しているものではなかった。

どうしようという客観的な自分と、見慣れない風景に少し浮足立っている自分がそこにいて少し面白かった。
スタッフが来れるだろうか、お客さんが来てくれるだろうかといった現実的な心配がまず、頭をよぎる。
もう片方では、どこか旅行にでも行っているような気分になり、違う場所に立っている錯覚に陥る。
こんな景色を見たのは何年ぶりだろうかと考えたが、前に雪景色を見た記憶がいつなのかさえはっきりとは思い出せない。
知らない場所を見てみたいといつも思う。旅行にも出かけないで、それがいつもいる場所で見れるというのはちょっと得した気になる。
雪国の方には申し訳ないと思うのだが、いつも簡単にしていることが、できなくて、階段を降りたり、雪が分厚く積もっていると所を歩くだけでもちょっと危ないなというのは新鮮だ。
当たり前が当たり前じゃなくなる。
そんな世界が、目覚めると広がっている。
一瞬の世界だから、それもよく見えてしまうのだろう。
多分、それが続くとまた見慣れた風景になり、うんざりしてしまったりするのだと思う。
ないものねだりが人の心情。
でも、たまにこうしてないものねだりが叶うこともあるんですね。
明日、起きたらどんな景色が広がっているのか楽しみに眠りにつければ、毎晩いいと思う。
そんな夢を見れればいいですね。