no title

「なんでこれ揺れているの?」
カウンターのお客さんから声がかかった。
そのお客さんの視線の先にある、カウンターの上にワイヤーで吊り下げられた照明器具が、微かに前後にゆっくりと揺れていた。
何で揺れているんだろうか。正直、その時は分からなかった。空調の風で揺れることもないし、誰かが触ったわけでもないのに。
しばらくして、街の公共放送で津波の警報が出ていると、放送している声が外から微かに聞こえてくる。そしてどこかで地震があったことを知る。
揺れというものを全く感じなく、ただ照明が揺れていただけだったので、またどこか遠くの沖合で地震があったのだろうと、その時は軽く思っていた。

まさか、これほどの言葉もでないような被害になっていようとは夢にも思わなかった。徐々に明らかになっていく事実や、映像がどれも受け入れがたいものばかりで、自分のいる現実との差があまりにも深過ぎた。
16年前に起こった阪神淡路大震災の記憶がよみがえる。あの時、自分の目の前に、あり得ない光景が広がっていたことを。普通が普通ではなくなることがあることを、初めて知った。
何もできずに、ただ実家に逃げ帰ったことを、そして今回と同じようにニュースから流れる映像にただ恐れ、悲しくなったことを思い出した。

この東北関東大地震は、さらに目を覆いたくなるような状況になっていました。ただただ、その映し出される光景が信じ難く、悲しくなるばかりでした。
でも、その中で必死に、いろんな方がいろんな事に立ち向かい、世界中からの支援や声が届く状況を見ていると少し気持ちが軽くなりました。

ただ、まだまだ予断を許さない状況が続いています。避難された方々の生活や、救援物資の不足、行方不明者の捜索や、原発問題。
現地にいる方のことを思うと胸が苦しくなりますが、自分ができることをやるしかないと思います。日常を仕事を、できることを。

少しでも多くの方の悲しみが減ることを心からお祈りいたします。

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