贈りもの

階下の倉庫にある洗濯機に洗濯ものを回すために、真っ暗な階段おりながら、今日営業してから初めて外に出たことに気づく。
寒いな、と思いながら倉庫横に取り付けられた郵便ポストを開けた。すでに先月の請求書などは届いていたから何も入っていないだろうなと予想に反し、どこにでもありそうな普通の大き目の茶封筒が一つどっしりとポストの中に陣取っていた。
なんだろう? 別に買い物もしていないし何か届く予定もないはずである。でもその封筒は明らかに何か入っているくらいの大きさがあった。
宛先は確かにうちのお店になっていると確認する。恐る恐る封筒をひっくり返してみる。普通は差出人が書いてあるはずであるが、その封筒には何も書かれていなかった。

検討もつかない。誰からだろうかと思いながら取りあえず洗濯ものを洗濯機の中に放り込み、洗剤を投入しスイッチを入れる。左手に封筒を持ち、階段を上がる。上がりながら封筒を何回か表裏と回してみるが差出人の名前はやはりどこにもない。

まあ、危ないものではないだろう、と少しドラマのようなことも考えながら封筒の端をハサミで切ってみる。
出てきたのはCD2枚と年賀状。その出てきた年賀状見てようやく理解する。去年、ご結婚されたお客様からのもので、CDはそのお客様の旦那様のものでした。
旦那様がピアニストということはお聞きしていたし、去年一緒にshucafeにも来られていた。でもこうして形になったものがあるとは知らなかったので驚きました。
誰もいないお店で少し聴いてみましたが、専門的なことは僕には分かりませんが素敵なアルバムでした。なんだろう気持ちが見えるような感じの音とでもいうのでしょうか。
音に気持ちが伝わっているような感じでしょうか。少し聴いていてそんなことを思いました。
いつも思うのが表現できるっていいことだなあってことです。別に音楽じゃなくてもいいんですが、何かしらを通じて自分の何かを表現できる。すごく素敵なことだと思います。
素敵な年賀状を見て、素敵な音に触れすごく感化されました。
ちょっとしたこうした現在の気持ちを誰かに伝えることができれば嬉しいことです。